ここ数年で、政府や経済関係者から発せられる「国はそろそろ国民の面倒を見切れなくなったからがんばって自立しておくれ」というメッセージが顕著だなと感じています。
終身雇用制度が崩壊して久しいですが、まだまだ日本には昔気質の会社がたくさん残っています。
それでも会社としては昔のやり方と新しいやり方に折り合いをつけつつ、大企業だけでなく小さな会社もなんとかやっている感がありますが、その一方で個人、つまり日本国民にはあまり焦りがない様子で、この状態で大丈夫なのかな・・・と密かに思っています。
なんといっても、今年は消費税の増税が控えています。そして来年はオリンピックが開催されます。
しばらくの間はオリンピック特需で日本国内も景気がいいかもしれませんが、その後の日本を想像するとうすら寒くすらなります。
「えっ?一体何が起こっているというの!?わかんない!!」というあなたのために、今回は政府からの残酷なメッセージの数々を噛み砕いて紹介していきたいと思います。
目次
政府から国民への「自立してください」のメッセージを読み取れていますか?
ここで紹介するメッセージ・キーワードは、個人的に私が政府から感じた、建前上の言い方をすれば「よりいっそう少子高齢化がすすむ将来に向けて、自立してくださいね」、本音を言えば「国はもうお金がなくて現役世代の老後の面倒まではとても見切れないんです、ごめんなさい!できるだけバックアップやサポートはしてあげるから、最終的には各々でがんばってね。」というものです。
でも、日本人らしくはっきりとは名言せず、婉曲表現なので、いまいち国民側には伝わってなくない?という感じがしてなりません。
もしあなたがいま危機感を持てていないのだとしたら、それは読んでいるニュースの絶対量が足りていないか、もしくは政府の言い方が悪いせいです。
※なお、メッセージ内容に関する用語説明などは省略しています。
参考リンクをつけておきますので、興味をもたれた方はぜひそちらもあわせてご覧ください。
人生100年時代
リンダ・グラットン氏共著「ライフシフト」や、政府の「人生100年時代構想会議」によって認知されるようになった『人生100年時代』というワード。
簡潔に言いますと、日本はこの先どの国よりも急速に高齢化社会を迎えますが、長寿国としても世界一になります。2000年代に生まれた子供は平均寿命が100歳以上になるとみられ、これまでのライフプランが通用しなくなる見通しです。
そのため、これからの社会では、キャリアプランニングや働き方の見直し、学び直しの重要性をはじめ、長寿化を見越した健康や人とのつながりなどを重視した生き方へのシフトなど、ひとりひとりに多様な変化が求められるようになりますよ、というメッセージです。
■参考リンク
人生100年時代構想(首相官邸HP)
人生100年時代とは? 働き方、人生100年時代構想について(カオナビ)
一億総活躍社会
少子高齢化に歯止めをかけ、50年後も人口1億人を維持し、家庭・職場・地域などあらゆる場で誰もが活躍できる全員参加型の社会を目指すというプランが『一億総活躍社会』です。
同時に発表したアベノミクスの新しい「3本の矢」を軸に、経済成長、子育て支援、安定した社会保障の実現を目指しています。
具体的には、経済面は東京五輪が開催される2020年頃にGDP600兆円を達成。
子育ては希望出生率を1.8まで回復。社会保障は団塊世代が70歳を超える2020年代に介護離職ゼロを実現、という内容です。
これはですねー、もう気付いている人が多いのですが、「一億総活躍社会」=「一億総自助努力社会」のメッセージです。
一見、女性が活躍する社会の実現をアピールしているようですが、裏を返せば「女性にも働いてもらわないとやっていけない」ということです。
定年延長に関しては、65歳で引退されると人手不足がさらに悪化してしまい労働力不足に陥るからでしょうし、現役サラリーマンも働き方改革で残業が減っていくなか、残業代を生活費にあててきた人は今後は副業で補填してくださいという内容と読みとれます。
■参考リンク
一億総活躍社会の実現(首相官邸HP)
一億総活躍社会の実現に向けて(厚生労働省HP)
NISA、つみたてNISA、iDeCoの創設
2014年にNISAが出てきたとき、「ああ、本格的に国にお金がなくなってきたんだな・・・」と感じました。
この3つの制度の創設は、「少子高齢化と人口減少に歯止めがかからず、公的年金では老後資金を賄いきれないことが目に見えてるから、老後資金が不安な人は今から資産形成を始めてください!」というメッセージですよね。
他の政策に比べたら非常にわかりやすくシンプルです。
これに関しては制度ができたのが遅すぎたくらいで、現在30代後半の私はせめて10年前にはできててほしかったな~と思います。資産形成は時間がとても重要な資本となるからです。
■参考リンク
資産づくりの第一歩に、投資優遇制度「NISA(ニーサ)」があります
少額から手軽にできる資産づくり 「つみたてNISA(ニーサ)」
(政府広報オンライン)
iDeCoとは?【iDeCoの概要】(厚生労働省HP)
副業・兼業の解禁
副業・兼業解禁も基本的には上記とメッセージ内容は変わりませんよね。
働き方改革で残業抑制を行う一方で、その分お給料が減ってしまい困る層がいます。考え方を変えればその人たちは時間に余裕ができたぶん他の方法で収入を得る方法ができたともいえるので、必要であれば他で穴埋めしてくださいということです。
ただし会社側が、働き方改革は推し進めるけど副業は解禁しませんという話になるとかなり悲劇なのですが・・・。
今は、副業解禁の会社に転職したい人が増えているようです。
副業は、コストを減らしたい会社側にもスキルアップや自己研鑚をしたい働き手にもメリットのある数少ない制度と思います。 早く全面的な解禁を求む!
■参考リンク
副業・兼業(厚生労働省HP)
経団連会長の「終身雇用なんてもう守れない」
2019年4月20日頃でしたかね。
経団連の中西会長から飛び出した「正直言って経済界は終身雇用なんてもう守れないと思っているんです」発言。
いやまあ、とっくに知ってたことだけど・・・、なぜこのタイミングで明言しやがったのでしょう。
平成が終わりを迎えるからこの際言っちゃえみたいな感じだったのでしょうか?案の定、かなりの反響(炎上といってもいいような)がありました。
経団連はもともとは熱烈な日本型雇用(終身雇用)擁護者でした。少なくとも最近までは、彼ら自身も日本型雇用が日本企業の強みだと信じて疑わなかったことでしょう。
そういう意味では、今回の経団連会長、それもモノづくりのトップランナー企業である日立製作所出身の中西会長の口からそういう発言が飛び出したという事実には、非常に重い意味があったと感じました。
■参考リンク
【時事ニュース】経団連・中西会長「正直言って、経済界は終身雇用なんてもう守れないと思っている。」
一貫したどん底メッセージ。ロールモデルなき世代はどうすれば・・・?
以上、お伝えしてきたメッセージは伝わりましたでしょうか。
・・・そうです、日本にはもう「お金がない!」のです。 どうしたもんやら。
一番大切なのは、私たちはいま「自立を求められている」と理解することです。
日本人はこれまで、国、会社、家族、その他いろいろなものに依存してきました。
しかし「定年まで同じ会社に勤め、退職金と年金で悠々自適」という老後プランは、会社と国に依存した人生設計であり、そういう仕組みが崩壊してしまった現在、そういう甘えが今後許されなくなってきます。
よって、今後はさまざまな方法で資産構築をする必要があり、また、お金だけではなく仕事や家族への向き合い方も変えていく必要があるのです。
例えば、お金だったら貯蓄の一部を資産運用や投資に回したり、仕事だったらゆるゆる長く続けていける仕事や副業とかけもちできる分野の仕事にシフトしたり。
家族も、今の時代はおひとりさまでもじゅうぶん幸せに生きることはできますから、結婚するかしないか、子供をつくるかつくらないかは個人の自由です。
従来の日本のような型にはまったロールモデルはなくなり、それぞれが価値のあると思うものを選択できる時代となりました。
この際、思う存分好きなことをして、時には失敗しながらも楽しんで生きていくのがベストと思いますよ!
まとめ:国と会社に頼れる時代はもう終わり。これからの人生のキーワードは「すべての卵をひとつの籠に盛るな」
現在、多くの人が老後にかかる資金を貯蓄と年金だけに頼っています。
少なくとも60歳未満の方はこの思考でいると危ないですね。「卵をひとつの籠に盛るな」という分散投資の基本からすれば極めてハイリスクです。
依存して一点集中していたルールから一刻も早く脱却し、分散したり、いろんな分野に種まきをしたりしてリスクを減らしましょう。
それがなにより自身を守る方法にもなり、同時に生産性の高い投資にもなるのです。
それにしても、私はインターネットが本格的に普及したときに20~30代でいられたことを感謝しています。
移り変わりの早いこれからの時代は、「情報」と「行動力」が鍵を握っていると思うので。
結論として、変わることを恐れない人にとっては、おそるるに足らない時代です。
何か困難が起きても、どんと構えて迎え撃ちましょう。